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心臓突然死について

神戸市灘区 内科・循環器内科 竹内内科 健康へのヒント 心臓突然死とは

心臓突然死について

 先日、健康でスポーツマンだった高円宮さまが運動中に倒れられ47歳の若さで急逝された事は、多くの国民に大きな驚きと衝撃を与えました。発作後24時間以内の予期されない死は「突然死」として定義されていますが、実際、心臓疾患の既往もなく元気だった人が、まさに青天の霹靂、予期しない突然の心臓発作で亡くなることがあります。その大半は心室細動の発作によると言われており、心室細動の原因として心筋梗塞や不整脈発作の可能性が挙げられているものの、その詳細はいまだ明らかではありません。
 今回は心臓突然死・心室細動について説明します。また、2000年8月、米国心臓協会(AHA)より新しい心肺蘇生法の基準(心肺蘇生法、国際ガイドライン 2000)が示され、我が国でも救急の現場ではこの基準が採用されていますので、従来の基準との差などについても簡単に触れておきます。更に、心室細動の治療として、自動体外式除細動器(AED)を行える環境作りについて触れたいと思います。
 この問題について、以前から市民レベルの心肺蘇生法の普及に尽力され、兵庫県では1990年から心肺蘇生法県民運動として発展し、5年間で540万人の兵庫県民の内の約2割の108万人の講習実績を達成した実績のある、兵庫県立健康センター所長 河村剛史先生のホームページを参考にさせていただきました。豊富な情報がありますので、詳細は下記の参考サイトをご覧ください。

 

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神戸市灘区 内科、循環器内科の竹内内科 健康へのヒント 心臓突然死の発症原因 について

心臓突然死の発症原因


運動中の心臓突然死を起こす原因は、主に2つが考えられています。
1)急性心筋梗塞発症後に2次的に起こる心室細動:
従来、動脈硬化による冠動脈狭窄が徐々に進展し、最終的に心筋梗塞に至ると言われていましたが、急性心筋梗塞で死亡した人の冠動脈狭窄を調べてみると、60%以上の症例は50%以下の軽度冠動脈狭窄であり、重度の狭窄は少ないことが判ってきました。そこで現在は、コレステロールが血管内膜下に蓄積し(プラーク形成)、肥厚した内膜が破裂すると、冠動脈痙攣と冠動脈内血栓形成により急性冠動脈閉塞を起こすと考えられており、急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome)と呼ばれています。
2)心室性頻拍が誘引となる心室細動:交感神経の緊張による心筋細胞の興奮性が亢進し、危険な不整脈(心室性頻拍)が起こり、それを引き金に心室細動が誘発されます。学生時代にスポーツをやっており、体力には自信があると過信している人が、単に運動不足とストレス解消の目的で、若い頃の感覚で急に激しい運動を始めた場合に心臓突然死が起こりやすいとも言えます。
一般的に12月、1月の冬場に多いと言われる心臓突然死ですが、運動時のものは9月、10月に多く、その理由は、"スポーツの秋"と称して全国各地で学校運動会、職場運動会などが開催されるためだと考えられています。
下記の表は中高年の年代別のスポーツと突然死の関係を示しています。この集 計は心臓死以外の死も含んでおり、またそのスポーツそのものの競技人口にも 左右されますので、ゴルフやランニングが危険なスポーツであるというわけで はありません。しかし、少しでも体の不調を感じたら、中断する勇気も持ちた いものです。
スポーツ中の突然死(種目別)
       〜39歳    40〜64歳     65歳以上  
  1位   ランニング   ゴルフ      ゲートボール
  2位   水泳      ランニング    ゴルフ
  3位   サッカー    水泳       ランニング

 

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神戸市灘区 内科、循環器内科の竹内内科 健康へのヒント 心室細動について

心室細動とは

 全身に血液を送る心臓の心室が不規則に収縮して痙攣したようになり、殆ど血液を拍出できなくなる状態を心室細動と呼び、心電図では不規則な揺れだけが 記録されます。前述した心筋梗塞や不整脈の末にこの状態が起こると直ちに意識が無くなり、放置すれば確実に数分で死に至ります。
 しかし、迅速且つ的確な治療で救命できることもあるのです。
 その方法をご紹介しましょう。
1) 除細動(電気ショック) 心室細動という不整脈を正常に戻すための唯一の方法です。電気的な刺激を与える為に除細動器とよばれる機器が必要です。救急隊が連絡を受けて現場に着くのに全国的に平均5?6分は掛かると言われています。しかし、心室細動が起これば数分で死に至りますので、治療は早い程良く、それまでの間、もし何もしないで待っていれば、例えこの除細動を行っても助かる可能性は極めて少なくなります。
2) 心肺蘇生法 除細動までに出来ることは、見つけた人が直ぐに行なえる心肺蘇生法であり、倒れて5分以内に始めれば、5分以上経ってから始めた場合に比べ、明らかに蘇生率が高いことも分かっています。心臓突然死からの救命率を上げるには、倒れた人を見つけ次第、119番ヘ電話すると同時に誰かが直ぐに心肺蘇生を開始し、心室細動には出来るだけ早く除細動を行うことが重要です。もし、心室細動の前触れである心室頻拍の時期だったら、拳で胸部を一撃すると脈が戻る場合もあると言われており、これも試みる価値はあります。

 

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神戸市灘区 内科、循環器内科の竹内内科 健康へのヒント 米国心臓協会(AHA)心肺蘇生法 国際ガイドライン2000について

米国心臓協会(AHA)心肺蘇生法 国際ガイドライン2000

2000年8月、米国心臓協会では心肺蘇生法関連する下記のような二つの重大発表がなされました(これを国際ガイドライン2000といいます)。
 1) 一般市民には「迅速な通報と心臓マッサージのみを行い、人工呼吸はしなくても良い」と簡易化されました。この背景には、欧米でのエイズなどの感染症の拡がりに伴い、口対口の人工呼吸に抵抗感を感じる一般市民が増えており、その結果、救急現場での心肺蘇生施行率が低下している現状があるからです。また、従来から心臓マッサージにより虚血に弱い脳細胞に対する脳循環を維持する重要性が強調されており、心肺蘇生法(CPR:Cardio-Pulmonary Resuscitation)よりも心肺脳蘇生法(CPCR:Cardio-Pulmonary Cerebral Resuscitation)という名前が適していると言われていました。更に、心臓の発作の場合の救命処置として、人工呼吸と心臓マッサージを併用した救命処置と、人工呼吸を行わずに心臓マッサージのみを行った処置に救命率で差が無く、むしろ早期除細動を前提とする場合には、心臓マッサージのみ方が除細動可能な心室細動を維持するのに有利である根拠が示されたこともあります。
 2) 一次救命処置において下記のABCが強調されていましたが、今回「D」 が追加されたことです。
    A:airway    B:breathing    C:circulation    D:defibrillation(除細動)

Dとは自動体外式除細動器(AED;下記)を用いた除細動のことで、医療従事者のみならず保健婦、運動トレーナなどの健康指導者に対しても、一次救命処置として心肺蘇生法のみならず自動除細動器(AED)の習得が求められています。更に今回のガイドラインでは、一般市民にも心停止の際、速やかなAEDの使用が薦められています。 一般市民の行う救命手当について、もう少し詳しくご紹介します。
 1) 気道確保の前に呼吸の確認を行わなくてもよくなったこと
 2) 心停止確認のための頸動脈の拍動の触知がなくなり、「循環のサイン」の確認に 変わったこと 
 3 )心臓マッサージの速さが100回/分に統一されたこと
 4) 救助者が二人の場合も心臓マッサージと人工呼吸の比率が15:2となったこと  
  5) 電話での心肺蘇生法の指導や口対口人工呼吸が行えない状況では,心臓マッサージだけでもよくなったこと、などです。
その他の変更点などは参考サイトでご確認下さい。 勿論、心肺蘇生法として従来の方法が否定されたわけではありません。 しかし、口対口の人工呼吸を行わなくて良いのであれば、蘇生法を覚えるの も、実行するのも簡単で、口を合わせなくて良いのなら蘇生法に協力すると いう声も少なくありません。また、寧ろ心臓マッサージに集中できるので、 より効果的に脳循環を維持できる、という見方もあります。心停止を前にし て何もしないよりはした方が遥かに有益なことは間違いなく、兎に角、「先 ずは心臓マッサージ」と覚えて下さい。

当ホームページ内AEDの関連項目

 

 

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神戸市灘区 内科、循環器内科の竹内内科 健康へのヒント 自動体外式除細動器(AED;Automated External Defibrillator) について

自動体外式除細動器(AED;Automated External Defibrillator)

現在、我が国で使われている普通の除細動器は、病院内に設置する携帯に 不向きな大きな機器で、心電図のモニター波形から医師が心室細動を判断し、 電気ショックのエネルギーも医師が決めて充電し、医師の判断の元に通電す るものです。 しかし、コンピュータが発達し、医師でなくても機器が心電図を判読し、そ の不整脈が電気ショックを必要とするものか否かを判断し、更にそれに基づ き通電ボタンを押すべきか否かを音声で教えてくれる、という時代になりま した。このような機器を自動式体外除細動器(AED)と呼び、重さも2?3kgと 軽くコンパクトなので携帯も可能です。

こうなると、その機器の使い方さえ 数時間の講習で会得していれば、一般市民でも充分、通電を行えるようにな ったのです。但し、緊急時の心室細動と心室頻拍だけが適応となり、心拍に 同期させた他の不整脈の除細動には使用出来ません。 除細動器はアメリカでは実売価格が20-30万円程度と言われており、既に 消防車やパトカーのみならず、飛行機などにも常備され、空港やホテル、 ゴルフ場、スポーツジム、ショッピングセンター、学校、会社のビルなど、 人が多く集まる場所に配備されつつあります。しかるに我が国では、その定 価は70-90万円と高額で、全医療機関に設置が望まれたとしても、医業経営 の厳しい昨今、使用するかどうか分からない医療機器の購入は容易ではなく、 まして公共施設への常備などいまだ耳にしたことがありません。 国産の除細動器が開発されていないのも疑問ですが、日米での医療機器の 価格差は、いつも問題になることであり、先ずは医療機器の関税廃止などで 価格を下げるなり、機器購入の補助を行なうなど、出来るだけ多くの医療機 関に設置できる体制作りを望みます。全ての医療機関に設置できれば、心停 止への対応は今より素早くなり、全国の開業医による一般市民の啓蒙活動も 促進され、その結果、救命率は格段に上がると期待されます。

 

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神戸市灘区 内科、循環器内科の竹内内科 健康へのヒント 日本におけるAED導入に向けての現在の動き について

日本におけるAED導入に向けての現在の動き

心臓発作の場合、倒れた人を見つけた一般市民が4分以内に心臓マッサージを 開始し、8分以内に除細動を行えた場合には、半数近くを救命し得ると言われ ています。一方、心臓マッサージが8分以上行われず、除細動開始まで16分以上掛かった場合、例え専門病院に運ばれても、救命し得るのは1割に満たないと言われています。このように、心臓突然死を防ぐ最大の手段は一般市民による迅速な心臓マッサージの開始と、可及的速やかな除細動の実施であり、その為にはAEDがすぐに使用出来るところに設置されていなければなりません。
一方、その具現化には
 1)非医師によるAED使用と医師法との関係
 2)AED 使用に伴う結果の賠償責任等
、クリアしなければならない問題も抱えているのは事実ですが、事が「待った無しの人命救助」であり、直ぐにその場で行動を起こせなければ意味がありません。善意での救命への協力が訴訟の対象となったり、その結果を非難されるとすれば、誰も協力しなくなると思います。

 従来、心室細動に対する除細動は医療行為とみなされ、医師法で医師以外は 除細動ボタンを押すことが出来なかった。しかし、急増する心臓突然死対策の 一環として、1992年4月より救急救命士制度がスタートし、心停止患者に対し てAEDを使用し、医師の指示の元で除細動ボタンを押すことが出来るようになった。また国際的なAED導入の動きを受け、2001年12月に日本航空国際線にAEDが搭載され、客室乗務員が医師の指示無しでも除細動ボタンを押すことが出来るようになった。

 2003年4月からは救急救命士も医師の指示無しにAEDを使用し除細動が出来る予定になっており、ようやく、日本においても4分以内の心臓マッサージ、8分以内の救急救命士による早期除細動が可能になる。」と河村先生は述べておられます。 また日本循環器学会では「2001年3月にAED検討委員会を設立し、広く非医師による除細動を可能にすることを目的にしてAEDの導入の検討を開始した。 2006年からは医師の2年間の卒後研修の中で、一次救命処置とAEDを含めた 心肺蘇生法の修得が義務付けされることになっている。」とのことです。是非、皆さんも考えてみてください。河村先生たちの兵庫県の運動が全国的な 運動になることを期待しております。

 

 

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